中国通販を自力で利用する日本人が最初にぶつかるのは、支払いの壁です。淘宝(タオバオ)でカートに商品を入れても、微店(ウェイディエン)で注文画面に進んでも、日本のカードが使えなければ買えない。そこで行き着く先が、アリペイ(支付宝/Alipay)です。
結論から先に言います。アリペイのアカウントは、日本の電話番号で作れます。パスポートによる本人確認も通ります。日本発行のVisa・Mastercard・JCBを追加することも可能です。
ただし、ここから先が大事です。「カードをアリペイに追加できた」と「中国の通販でそのカードで支払える」は別の話です。淘宝は条件付きで国際カードが通り、微店と閑魚(シェンユー)には公式の国際カード決済の道がありません。この記事では、中国政府の公式ガイド、アリペイ・微店の公式ヘルプ、閑魚の境外版ユーザー協議といった一次資料をもとに、どこまでできて、どこからできなくなるのかを整理します。
30秒でわかる|この記事の結論
- アリペイの登録は日本の電話番号(+81)で可能。SMS認証は日本にいるうちに済ませておく
- 本人確認(実名認証)はパスポートで通る。顔認証まで進めるのが基本の流れ
- 追加できる国際カードはVisa・Mastercard・JCB・Diners Club・Discover。American Expressはアリペイでは使えない
- 国際カードの決済は、200元を超えると取引額の3%の手数料。淘宝・天猫の注文を国際カードで払う場合は金額にかかわらず3%
- 淘宝は新品の実物商品なら公式の国際カード決済が使える。微店は海外カードに公式非対応、閑魚は中古取引が国際カードの対象外
- 自分のカードで支払えない注文は、購入代行や国際転送でカバーできる
アリペイ(支付宝)とは何か
アリペイは、アリババグループが運営する中国本土の決済アプリです。日本におけるPayPayと同じで、中国国内のQRコード決済の標準であり、淘宝・天猫をはじめとするアリババ系ECの決済を支えています。中国の通販で買い物をするなら、アリペイのアカウントが前提になる場面が多い。
日本人が使うときは、中国本土版のアリペイアプリをそのまま登録します。表示言語は英語(と中国語)に切り替えられますが、日本語表示には2026年10月時点で対応していません。主要な操作は、右下の「マイ(Me)」に集約されています。
日本の電話番号(+81)で登録できる
中国政府が公表している外国人向け生活ガイド「外国商務人士在华工作生活指引」には、アリペイとウィーチャットペイ(WeChat Pay/微信支付)の登録について「国外または国内の携帯電話番号を入力する」と書かれています。日本の電話番号での登録は、公式に認められた手順です。
手順はこうなります。
- アプリストアで「Alipay」を検索し、中国本土版アプリをインストール
- 新規登録画面で国コード「+81」を選び、電話番号を入力(先頭の0は外す)
- SMSで届いた認証コードを入力
- ログインパスワードを設定して完了
人民網日本語版の渡航ガイドが注意を促しているのは、SMS認証のタイミングです。中国現地に到着してからだと認証コードが届かないケースがあるというもの。通販目的で日本から使うぶんには影響しませんが、渡航予定がある人は出発前に登録を済ませておくべきです。
なお、登録だけなら実名認証は不要です。閲覧や一部の機能は未認証のまま使えます。しかし決済に関わる機能は、本人確認を済ませるまで開放されません。
本人確認(実名認証)はパスポートで通る
アリペイの公式ヘルプには、香港・マカオ・台湾および海外ユーザー向けの個人認証フローが用意されています。日本のユーザーはこの「海外ユーザー」枠で認証します。
- 「マイ」→本人のプロフィール→身分認証(Identity Verification)をタップ
- 国・地域で日本を選択
- 氏名(パスポートのローマ字表記どおり)、旅券番号、有効期限、生年月日を入力
- パスポートの顔写真ページを撮影して提出
- 顔認証(まばたきや顔の向きの指示に従う)で完了
審査は数分で終わったという声も、24時間かかったという声もあります。認証が通ると、決済に必要な機能と送受金の上限が引き上げられます。
補足しておきます。アリペイの公式ヘルプには、身分情報をさらに補完する場面で「パスポートの基本情報ページ+入境スタンプページ」の提出を求めるとの記載があります。一方、日本国内からアプリで認証する流れでは、パスポート情報の入力と顔認証だけで済むのが一般的です。表示される項目はアカウントの状態によって変わるため、画面の指示に従うのがいちばん確実です。
日本発行のクレジットカードは追加できる
中国政府のガイドでは、対応する国際カードのブランドとしてVisa、Mastercard、JCB、Diners Club、Discoverが列挙されています。
| 国際ブランド | アリペイへの追加 |
|---|---|
| Visa | ○ |
| Mastercard | ○ |
| JCB | ○ |
| Diners Club | ○ |
| Discover | ○(日本ではほぼ発行されていない) |
| American Express | ×(ウィーチャットペイは対応) |
注意したいのがAmerican Expressです。アリペイの国際カード対応は上の5ブランドに限られており、アメックスは追加できません。同じ外国人向け対応でも、ウィーチャットペイのほうはAmerican Expressを含む6ブランドに対応しています(人民網日本語版の対応表による)。アメックスしか持っていない人は、ウィーチャットペイ側の登録が有力です。
追加手順は「マイ」→「Bank Cards(銀行カード)」→「+」です。カード番号、氏名、有効期限、セキュリティコードを入力すると、発行会社経由の確認(一時的な少額の与信とSMS認証)が行われます。登録できるのは1アカウントにつき最大5枚です。
落とし穴もあります。政府ガイド自体が「発行会社側のシステムが接続情報を識別できず、カード登録を拒否されることがある」と注意書きをしています。該当した場合は、カード会社に海外利用の可否を確認するか、別のカードを試すことになります。また、人民網日本語版のガイドは、少額の決済を繰り返すと発行会社が不正利用を疑ってカードを止めると指摘しています。中国通販でのまとめ買いの前に、カード会社の海外利用設定を見直しておくと安心です。
手数料と限度額——数字で整理する
公式資料の数字を、そのまま並べます。
| 項目 | ルール | 出典 |
|---|---|---|
| 1回200元以下の決済(店舗のQRコード決済など) | 手数料なし | 政府ガイド |
| 1回200元を超える決済(同上) | 取引額の3% | 政府ガイド |
| 淘宝・天猫の注文を国際カードで支払う | 金額にかかわらず3% | アリペイ公式文書 |
| 1回あたりの取引上限 | 5,000米ドル | 政府ガイド |
| 年間累計の上限 | 5万米ドル | 政府ガイド |
誤解しやすい点を先に言っておきます。この「3%」はアリペイ側の手数料です。これとは別に、カード発行会社の海外利用手数料がかかります(無料のカードもあれば、2%前後かかるものもある)。為替レートも国際ブランドと発行会社が決めるもので、アリペイは関与しません。実際の負担を見積もるときは、アリペイの手数料と発行会社の手数料を両方足して考える必要があります。
「年間5万米ドル」の書き方にも注意が要ります。これはアリペイというサービス全体の上限ではなく、国際カードを登録して支払う場合の、決済側(支払う人)のルールです。中国の銀行口座を実名登録した中国人ユーザーのアカウントには、別の枠組みが適用されます。「アリペイは年5万ドルまで」といった断定的な書き方をネット上で見かけますが、条件を付けないかぎり正しくありません。
国際カードで「できないこと」
アリペイの公式FAQでは、国際カードの利用範囲がひとつの文にまとめられています。中国各地の政府機関が発行する外国人向けの決済ガイドにも、同じ文が掲載されています。
アリペイ公式FAQ・原文
境外银行卡支持在中国内地的衣食住行日常消费,暂不支持个人转账、红包、理财、保险和其他金融服务
(海外の銀行カードは中国本土での衣食住行の日常消費に利用できる。個人間送金、紅包、理財、保険などの金融サービスには当面対応しない)
噛み砕くと、国際カードは「消費専用」です。
- 個人間の送金:不可
- 紅包(電子のお年玉機能):不可
- 残高へのチャージ:不可(支払いは都度カードから直接)
- 理財・保険などの金融サービス:不可
この制限は、淘宝で商品を買うぶんには気になりません。問題になるのは、個人間の取引が基本のプラットフォームです。閑魚はまさにそこにあたります。この先、プラットフォーム別に詳しく見ます。
淘宝・微店・閑魚でアリペイは使える?——プラットフォーム別の実態
この記事の本題です。冒頭の「登録できても支払えるとは限らない」の中身を、プラットフォームごとに確認します。
まず押さえてほしいのは、「アリペイが使える」には段階があるということです。
- アカウント登録(+81・SMS認証)——誰でも可能
- パスポート本人確認+国際カードの追加——可能
- 実際の注文でそのカードが決済手段として選ばれ、決済が成立する——プラットフォームと注文によって変わる
カードの追加までの体験談は日本語のネットにも増えました。しかし最後の段階、つまり「買いたい商品の支払いを最後まで済ませられるか」で差がつきます。
淘宝(タオバオ)——条件付きで国際カードが通る
淘宝には「国際クレジットカード決済」という公式の決済経路が存在します。アリペイの公式文書「国际信用卡支付产品介绍」が定める条件は、次のとおりです。
- 対象カード:世界各地で発行されたVisa・Mastercard・JCB(米国ワシントン州発行を除く)
- 対象取引:淘宝と天猫の実物商品、航空券など。中古商品・予約販売・天猫国際の取引は対象外
- 手数料:取引額の3%
- 1回あたりの上限:店舗側の契約状態により2,000元または10,000元(カード自体の利用枠は別計算)
新品の実物商品に限れば、日本発行のVisa・Mastercard・JCBで淘宝の注文を支払える公式の道がある、ということです。ボタンひとつで必ず通る、とまでは言えません。注文画面に国際カードの選択肢が出るかどうかは注文ごとの表示次第で、発行会社が承認を拒めばその時点で決済は失敗します。使えたとしても手数料3%。
微店(ウェイディエン)——海外カードは公式に非対応
微店の公式決済FAQが案内する支払い方法は、微信支付・支付宝・QQウォレット(手Q钱包)・Apple Payです。アリペイの入口自体はあります。
問題は中身です。微店のレジで新しい銀行カードを使うには、氏名・身分証番号・銀行に登録した携帯電話番号・SMS認証が要求されます。中国国内の本人確認を前提とした設計です。さらに微店アプリのFAQには、港澳台および海外発行の銀行カードには対応していないと明記されています。
アリペイに日本のカードを登録して微店の注文が通った、という報告自体はあります。ただしそれは微店が公式に保証する経路ではなく、注文・アカウント・カードの状態がそろったときに通る、という性質のものです。微信やQQのチャット内で開いた商品リンクではアリペイが選べない、という環境依存の報告もあります。微店の支払い方法の詳細は、「微店の支払い方法|日本から購入できる?」にまとめてあります。
閑魚(シェンユー)——中古取引は国際カードの対象外
閑魚は個人間の中古取引が中心です。先に見たアリペイの公式文書は「二手类商品不支持(中古商品は対象外)」と明記しています。閑魚の注文はこの対象外の側にあたり、公式の国際カード決済の道がありません。
一方で、状況が動いているのも事実です。閑魚は2026年5月28日から、中国大陸以外のユーザー向けの「闲鱼社区用户服务协议(境外版)」を施行しました。シンガポールのGOODUSUS PTE. LTD.が境外事業の主体となり、境外の電話番号での登録や境外の身分証による実名登録を認め、国・地域とユーザーの身分タイプに応じて機能を段階的に開放する——そういう内容です。協議では、取引の資金決済がアリペイ系の決済アカウントを通じて処理される仕組みと定められており、閲覧・検索などの基本サービスはログインなしでも使えると書かれています。
ただし、どの地域のユーザーにどこまでの機能が開かれているかは「アプリの画面の表示が基準」とされています。アメリカのように未開放の地域があることに協議自身が言及しており、日本のユーザーが注文まで完遂できるかは、自分のアカウントで試すほかありません。閑魚の基本操作と自力購入の流れは、「閑魚(シェンユー)の使い方ガイド」で解説しています。
表でまとめます。
| プラットフォーム | 国際カードでの支払い | 状態 |
|---|---|---|
| 淘宝・天猫 | ○(条件付き) | 新品の実物商品のみ。手数料3%。中古・予約・天猫国際は不可 |
| 微店 | △ | 海外カードは公式非対応。通るかは注文・環境次第 |
| 閑魚 | × | 中古取引は国際カードの対象外。境外版は機能を段階的に開放中 |
カードを登録したのに支払えない——原因はほぼ5つのどれか
カードの追加まで完璧に見えて、注文の支払いで失敗する場合、原因は次のどれかに集約されます。
- 実名認証のレベルが足りない——本人確認が済んでいても、決済に必要な枠が解放されていないことがある
- 商品カテゴリが対象外——中古・予約販売・海外直輸入は国際カード決済の対象外
- 店舗側の設定——単筆上限(2,000元/10,000元)や受け入れ可能な決済方法の設定で弾かれる
- 発行会社の承認拒否——海外のEC・ウォレットへの利用をセキュリティ設定で止めているカードがある
- 決済サービス側のリスク判定——少額の決済を短時間に繰り返すなどが原因で、不正利用の疑いで制限されます(人民網日本語版ガイドも同種の事象を指摘)
対処は、順に試すしかありません。エラーメッセージを確認する(アプリ内の翻訳機能が使える)→別のカードを試す→金額を見直す(1元未満や上限超過は不可)→支払い方法の候補そのものが出ていなければ、その注文は国際カードでは支払えないと判断します。
支払えない注文をどうするか——代行と転送
自分のカードでは支払えないと分かった時点で、自力でできることはほぼ尽きています。残る選択肢は、注文から支払い・配送まで任せる「購入代行」か、自分で支払える範囲で買って中国国内の受け取りと国際発送だけ任せる「国際転送」です。
当社(117MART代行)は、淘宝・微店・閑魚・1688など中国ECの購入代行と、中国倉庫での受け取りから日本への国際転送を提供しています。代行会社である以上、正直に書いておきたいこともあります。微店や閑魚の出品者側のリスク(金を受け取って消える店舗、届かない商品)は、代行でも消せません。代行で可能なのは、注文前の店舗チェック、日本語での相談窓口、トラブル時の返金申請の代行(1件300円〜)、そして商品が日本に届くまでの配送管理です。
淘宝で自分で購入した商品の日本への発送は「淘宝(タオバオ)から日本への転送ガイド」で、中国国内の倉庫受け取りからのお届けは「中国転送サービス」のページで詳しく案内しています。
よくある質問
Q. SMSの認証コードが届きません
A. 日本国内なら通常は届きますが、遅延やキャリアのフィルタの影響で届かないことがあります。時間を置いて再送信するか、日を改めて試すのが現実的な対応です。
Q. パスポートが手元にありません。登録だけでもできますか
A. できます。アカウント登録(電話番号とSMS認証)にパスポートは不要です。ただし決済に必要な本人確認では、海外ユーザーはパスポートによる認証が基本になります。
Q. JCBは使えますか
A. アリペイへのカード追加は可能で、淘宝・天猫の国際カード決済もJCBに対応しています。ただし微店・閑魚では国際カードの利用が難しいため、「JCBがあれば中国通販はすべて支払える」とは言えません。
Q. アリペイの残高にチャージできますか
A. 国際カードからはできません。国際カードは消費(店舗やECへの支払い)専用の位置づけで、残高への入金は個人間送金と同じ扱いになるためです。
Q. アリペイは日本国内のお店でも使えますか
A. 中国本土版アリペイの決済は、中国本土向けのサービスです。日本の街中で見かける「Alipay」のステッカーは中国からの旅行者向けの受け入れ表示で、日本在住者の日常決済に使うものではありません。
Q. 「淘宝なら日本のカードで買えた」という人と「買えなかった」という人がいるのはなぜですか
A. 国際カード決済は新品の実物商品に限られ、中古・予約販売・天猫国際は対象外です。さらに店舗ごとの単筆上限、発行会社の承認、決済サービス側のリスク判定がそれぞれ結果を左右します。同じ淘宝でも注文ごとに結果が変わるのは、この重なりによるものです。
Q. 代行を利用する場合、自分のクレジットカードは必要ですか
A. 必要ありません。117MARTが注文と支払いを代行し、お客様からは日本円での銀行振込でいただきます。
Q. 「年間5万ドル」は何の上限ですか
A. 国際カードをアリペイ(およびウィーチャットペイ)に登録して支払う場合の、1年間の累計上限です。アリペイというサービス全体の上限ではありません。
まとめ|登録は誰でも、決済はプラットフォーム次第
アリペイのアカウント登録、パスポートでの本人確認、国際カードの追加——この一連の準備は、日本の携帯電話とパスポートがあれば日本国内で完結します。壁はその先にあります。淘宝は新品の実物商品なら公式の国際カード決済が通り、微店は海外カードに公式非対応、閑魚は中古取引ゆえに国際カードの対象外です。
買いたい商品がすでに決まっているなら、まず自分のアカウントでどこまで支払えるか試す価値はあります。試して通らなかった注文は、購入代行に引き取ってもらうのがいちばん早い。
支払いで困った注文は、まずLINEでご相談ください
商品リンクを送っていただければ、店舗の状態を確認したうえで見積もりをお返しします。決済から日本へのお届けまで、すべて日本語でご相談いただけます。
※サービス料金・対応商品・国際配送条件は変更される場合があります。最新の条件は利用前に117MARTへご確認ください。
本記事の情報は2026年10月時点のものです。